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色褪せや変色の原因と防止方法~お気に入りは長持ちさせよう①

お気に入りの工芸品や小物が変色したり、色褪せして悲しい思いをしたことありませんか? 原因を知ってうまく対処すれば、お気に入りの状態が長持ちします

色褪せの大敵、紫外線

色褪せというと、まず衣服やファッション小物を思い浮かべるでしょう。けれども、日光の当たったフローリングやポスターが色褪せているのを見たことはありませんか?

ポストや看板、木の製品さえ年を経ると変色します。

特に、日ざらしになったものの色褪せが大きいです。ということは紫外線防止が、まずは色褪せや偏食予防の第一歩です。

日光がものに悪影響を与えるというのは、古くから知られていたのかもしれません。

源氏物語で主人公の光源氏が晩年に住む広大な六条邸には、蔵は北西にまとめて建てられています。きっと木造の薄暗い建物だったのでしょうね。

 

こちらは、綾国際クラフトの城にある綾城。

ほとんどの窓が閉まっていて、中は薄暗いです。

色褪せや変色を防ぐのに知っておきたいこと

工芸品の中で色変わりしやすいのは、染めや織りの繊維製品、木工品、竹製品でしょうか。上手な保管方法を知っておきましょう。

竹製品や木製品の色褪せや変色を防ぐ

竹製品や木製品は使い込むうちに艶が出て、味のある自分だけの一品になったりします。深みのある変色といいましょうか。また、漆塗りの家具などは、日光が当たるとゆっくりと変色していきます。

変色を防ぎたい場合は、紫外線が当たらないところに収納するのが一番。

昔は水屋(食器棚)も木やすりガラスの扉で、中までの光は遮られていました。もし、保管する食器棚に光が差し込みやすい場合は、木製品の食器にふんわりと布巾をかぶせたり、引き出し収納がおすすめ。木のスプーンなどのカトラリーも引き出しがよいでしょう。

漆仕上げの家具など大きな木工品は、時々向きを変えて分散させれば一か所が部分的に変色しないと木工家が教えてくれました。

木製品や竹製品の場合、紫外線と同時に温度や湿度による乾燥ダメージも大きいので、窓辺に置くのは避けましょう。

 

布製品の色褪せを防ぐ

着物を一枚ずつ包む‘’たとう紙‘’をご存じですか? 良い着物は、必ずたとう紙に包まれて、木のタンスに保管されてきました。タンスに入れるだけでも日光は遮られますが、さらに紙で包み紫外線を遮ったのです。

布製品の色褪せを防ぐには、タンスやクローゼットに収納しておくのが一番。また、洗濯して干すときには裏返して陰干ししましょう。

コサージュなどのアクセサリー類も紙箱収納がおすすめ。見て判りやすいよう透明な容器で収納する場合は、容器ごとクローゼットや引き出しに収納したり、光を遮る工夫をしてください。

 

色褪せ原因の紫外線も悪者ではない

色褪せや変色を促進する紫外線ですが、決して悪者ではありません。布の‘’さらし(晒)‘’は、もともと布を日光に晒して作られました。カレーなどのシミも日光に晒すと薄くなります(ただし、周りも薄くなるので注意が必要です)

また、紫外線は殺菌作用にも優れていますから、どうしても日光のもとに干したいときもあるでしょう。そのようなときは、布は裏返して、木は短時間で干してください。

 

ゆっくりした変色は、あなただけの品になった証拠です

工芸品は昔から木箱や紙箱に入れてやり取りされました。これは過剰包装ではなく、衝撃とともに日光から品を守るためでもあります。

現在は窓が大きく取られ、室内が明るい建物が多くなりました。紫外線を遮るのに、日差しが強い窓に遮光カーテンをかけるのもよいでしょう。

工芸品は使い込むうちにゆっくりと変化していきます。その変化を職人たちは「お客様が育てる」といいます。お気に入りの一品を手元に迎え入れたら、じっくりと育ててみてください。

綾町の工芸品がお気に入りの一つになればうれしいです。

 

綾工芸まつりでは工芸家が販売に立ちます。お手入れの仕方など、詳しくお尋ねください。

第40回綾工芸まつり 2021,11,20(土)~11,23(火・祝) 綾てるはドーム


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